私は高校を卒業したあと、勤めた会社が合わなくて、すぐに退職してしまいました。もう30年ほど前の事ですが、若かった身としては、社会に踏み出した第一歩で躓いた事が、とても大きな心の傷になったのです。今でいうニートのような生活が、それからしばらく続くわけですが、昔気質の両親には、仕事も探さずぶらぶらとしている事をよく責められました。今思うと、当時の私は社会不安症のようになっていたと思います。でも周りの誰にも分かってもらえず、ずいぶん辛い思いをしました。
そんな中、唯一心の癒しになってくれたのが、とあるテレビアニメでした。当時の少女漫画誌に掲載されていた人気漫画が、テレビアニメ化されたもので、私が見ていたのはその再放送でした。家の中に居場所を見出せなくなった私は、毎夕、自分の部屋でそのアニメを見るのだけが心の支えでした。あの頃ビデオ録画など出来ない時代でしたから、とにかく見逃さないために、毎日夕方の放送時間には何をおいてもテレビの前にかじりついていましたね。未来に希望を見出せなくなっていた私は、普通に就職するための準備や訓練をする気にもなりませんでしたが、ただそのテレビアニメに感化され、そのイラストや漫画を描くようになっていきました。
もともと美術の成績は良かったので、描く絵もすぐに上達した方だと思います。そのうちに描いた漫画を出版社に投稿して賞をもらったりしました。プロになって続ける事は叶いませんでしたが、今でも漫画や絵は続けています。あの時のテレビアニメがなかったら、こんな生き甲斐を得る事はなかったでしょう。